VPNが他の通信システムと比べてどう違うのか、どうしてよく利用されているのかを、これまでの説明を振り返りながら考えてみましょう。
VPNは、データを安全に届けるための手段のひとつですが、その概念は、データ通信のために、既存のルートの中に秘密の移送手段を導入するようなことではないでしょうか。
ただ既存のデータ通信ルートを利用する場合は、安全性が損なわれるリスクが高まります。
しかし、通信専門の秘密のルートをつくるのは工数もコストもかかりすぎて難しいです。
従って、既存のルートを上手に利用する方法を考えること。
喩えていうならば、インターネットなどの回線は既存のデータ通信ルートであって、専用回線が通信専門の秘密のルートであって、インターネットなどの中で、他の通信をいっさい避けて通信できるルートを設けることがVPNということです。
VPNの登場前、内部と外部を安全につなごうとするときには、専用回線を用いる時代がありました。
この時代には、帯域やセキュリティの確実さがあるいっぽうで、距離や回線速度などの原因でコストがかかりやすい欠点がありましたし、1対1の接続が原則でした。
しかしVPNは、ISPの利用料金やアクセス回線の料金くらいの出費で済むためにコストが増えにくいことや、多数の拠点との接続に向いていることなど、多くの利点を持つことができました。
既存の通信ルートを、専用回線を通しているかのようにつないで、セキュリティを厳守しながら重要なデータを通信する、これがVPNの概念でしょう。
たとえインターネットを利用していても、公のネットワークであるにもかかわらず、まるで個人のクローゼットナネットワークの中にいるような安全性や便利さを享受できます。
インターネットを専用回線の双方の長所を利用しようとして発展してきた技術です。